はりとおキュウの話


作成日:2016年3月5日
大分類:皮膚疾患 鍼灸治療
小分類:皮膚潰瘍 鍼灸治療
タイトル:京田辺市たわ鍼灸院|皮膚潰瘍 鍼灸治療 

◆京都府・京田辺市の“たわ鍼灸院”です。◆
(TEL:0774-65-2040)
www.tawa-shinkyuin.com/

皮膚潰瘍と言われていのは


皮膚の表皮と
真皮の部分の欠損を言い。


表皮のみの欠損は。

「びらん」と言っています。


皮膚潰瘍の原因にはいろいろありますが。


血行障害や
局所または中枢の神経障害。

局所の炎症や腫瘍によって。


・なかなか治らない

・または再発する皮膚潰瘍

を難治性皮膚潰瘍と言っています。


また、これら皮膚潰瘍は

  ほとんどが

下腿より末梢に好発好発するので。


「下腿潰瘍」と呼ばれ。


原因疾患の

70%は静脈性

15%が動脈性

残りの15%が

その他の事で起こるとされています。


難治性皮膚潰瘍の原因
1.動脈疾患(動脈 閉塞・動脈血栓症)

  ●動脈性潰瘍、虚血性潰瘍
   通常足趾~足部にみられる。
 

 2.静脈疾患(下肢静脈瘤と深部静脈血栓後遺症)

  ●静脈性潰瘍、うっ滞性潰瘍
   通常下腿の下1/3にみられる。
 

 3.神経障害(糖尿病性、脊髄損傷など)

  ●神経性潰瘍
   糖尿病性潰瘍は通常足趾~足部にみられる。
 

 4.物理的障害(物理的圧迫による=褥瘡)

  ●仙骨部・大 転子部
   踵部・背部・後頭部など。

  ●車椅子使用者では坐骨部


 5.血管炎+微小血栓(膠原病など)

  下腿にみられることが多い。


難治性皮膚潰瘍の診断で大切なのは
 
 ・いつから。
 
 ・症状の進行の度合いは。
 
 ・経時的変化(1日のうちでの変化朝か夕か。)
 
 ・疼痛、間歇性跛行、
  しびれ、冷感、チアノーゼの有無。
 
 ・既往、合併の有無。
 (高血圧、不整脈、高脂血症、糖尿病、)
 
 ・喫煙歴

  などの
 
 問診をしっかりと聞くことがまず大切になります。


1.静脈性皮膚潰瘍= 静脈うっ滞性潰瘍

  静脈性皮膚潰瘍の原因で一番多いのは。

  静脈壁,静脈弁の  
  遺伝的脆弱性が誘因となって。

  静脈弁の機能不全が起こる  
  1次性下肢静脈瘤になります。
 (表在静脈である大または小伏在静脈そのものに原因のあるもの。)

  加齢,女性,肥満,妊娠
  立位作業,ホルモンなどが原因として挙げられます。


  2番目には2次性下肢静脈瘤があり。
 
  2次的に表在静脈が拡張し
  これがバイパスとなっているものです。
   (深部静脈血栓症など)

  
  下肢静脈瘤を放置していると。  
  
  大伏在静脈逆流の場合は
  内果上部に。
  
  
  小伏在静脈の場合は  
  外果上部に。
  
  
  両方の場合は  
  下腿の下1/3の全周性に

  褐色斑を生じますし。
    
  うっ滞性皮膚炎や
  下腿潰瘍が起こります。


2.動脈性皮膚潰瘍(虚血性潰瘍)

・慢性動脈閉塞症

 原因の主なものは。

 動脈硬化を原因とした
 閉塞性動脈硬化症と。
 
 血管炎を原因とした
 閉塞性血栓血管炎。

 いわゆるバージャー病があります。

 
 バージャー病は

 本邦をはじめとした
 アジア人種に特有な疾患とされてましたが。
 
 現在では

 慢性動脈閉塞症のおよそ
 90%は閉塞性動脈硬化症です。


 ①閉塞性動脈硬化症(ASO)

  腹部大動脈~下肢動脈の
  動脈硬化性閉塞による慢性の血流障害。

フォンテイン分類(症状の進行により4段階に区分)

 Ⅰ度:下肢の冷感、しびれ

 Ⅱ度:間歇性跛行
      (一定距離の歩行によって筋肉痛が起こり
       、休息後再び歩行可能になる)

 Ⅲ:度は安静時の下肢の疼痛

 Ⅳ:度は下肢の皮膚潰瘍、下肢壊疽

 
 ②動脈血栓塞栓症による皮膚潰瘍

心房細動があり、皮膚潰瘍がある場合は。
   
  左房内の血栓の有無を診るために
  心臓超音波検査が優先されます。
    
   ・血栓が頭部に飛ぶことで  
    重篤な合併症(脳血栓・梗塞) 
    を発症する可能性があるため。
 
 
  バージャー病(閉塞性血栓血管炎)

   ・動脈内膜層の炎症性変化。
    血栓の形成。
    
    次いでこれが
    器質化をきたして   
    四肢主幹動脈を侵す。

  ・青壮年(20~40歳)の   
   喫煙男子に多い
   (女・老人はまれ)。

  ・下肢片側性に   
   倦怠感・冷感・蒼白化。  
   次いで間欠性跛行。
   患肢末端に疼痛が反復。
   
   チアノーゼ・紅斑・小出血をきたし   
   やがて壊死に陥る。


動脈閉塞の診察
 
 ・足背動脈と  
  後脛骨動脈の触診を行い。

  これらが正常に触れたら

  閉塞性動脈硬化症や
  バージャー病に
  よるものではないことが多いです。

 
 ・触診は左右を同時に行います。
 
 ・足部動脈を
  触診で触れなかった場合は。

 
  膝窩動脈の触
  鼡径での大腿動脈の触診を行います。

 
 ・腹部に拍動性腫瘤があれば
  腹部大動脈瘤が疑われます。


 ・足部でドップラー聴診器で 
  下肢血圧と上肢血圧を測って。

  「足関節上腕血圧比
   (Ankle Brachial Index::ABI)」を求めます。
  

  この検査では
 
  下肢血圧の方が上肢血圧よりも高く。

  ABIは1.1以上が正常とされ。

  下肢の血流には問題はないとされていましたが。
  

  現在では

  糖尿病を伴った閉塞性動脈硬化症や
  動脈の石灰化の強い場合は。

  実際の血圧より高い値となり。
  
  あたかも正常の血圧と
  間違えてしまう場合が有るので。


  ABIと脈波伝播速度
  (Pulse wave velocity: PWV)検査や

  皮膚灌流圧
  (Skin Perfusion Pressure:以下SPP)検査を行い。

  正確に評価するようになってきています。